2011年 01月 10日
イスタンブールの占いうさぎ。 |
今年の目標に長女は100冊の読書を上げました。
私には無理な数字だけれど少し触発されているのも事実。
そんな私が選んだ最初の1冊です。
副題は亡命のヤン(町田 純 著・画)・・・遠い異国の物語です。
トルコのイスタンブールにはロシアからの亡命者のほかに
たくさんの動物たちも逃げて来ました。
様々な言語が飛び交い人間と動物たちがともに暮らすおおらかさが
この町にはまだあった時代です。
1920年12月、大道芸人のクマのジプシをはじめ動物たちは
貧しくても分け合ってその日暮らしを続けていました。
ジプシはロシアからの亡命猫ヤンにシミット(ゴマのついた輪型のパン)を与え
寝床まで提供してくれているのです。
昨日もヤンはジプシからシミットをもらいました。
シミットはぼそぼそになってしまっていて少しもおいしくなかったけれど
魚が嫌いなカモメと分け合いヤンは今日も仕事を探して歩き続けます。
・・・連中の作った国家とか法律とかどれもこれも馬鹿馬鹿しくって
話しになりません。
でもこのシミットは案外いいですよ。
人間は食べ物に関しては結構ウルサイほうですからね。
カモメは自己矛盾を隠さずにもらったパンを食べ続けます。・・・
ガラタ橋では商売道具の荷車をなくして途方にくれるロバに出会い
ピラフまでごちそうになりました。
ロバは船を数えるのが好きでつい夢中になってしまい
荷車を盗られたことに気づかなかったのです。
占いうさぎが不思議がるヤンに応えて話します。
・・・占いっていうのはネ、人生を仕舞う為の処方箋なんだヨ。
出される薬は所詮気休めだけどネ。
でもそれを受け取る方も、つまりお客も、半分気休めだと
わかっているからイイんだヨ。
そんなモンさ、占いなんて。・・・
バザールで占いうさぎの仕事を手伝うことになったヤンの前に
様々な人間たちが現れます。
絨毯商アフメットや反革命軍の敗残兵、亡命ロシア貴族、
貧しいウェイターの少年...
上等なアストラカンの帽子をかぶったカラスは紙ダンゴ占いをやっています。
商売上手な大きくて太ったハトがおみくじを売っています。
イスタンブールの町はモノクロームに霧とともに沈み
なんの希望も見いだせないけれど
人間たちよりははるかに今の生を淡々と生きている動物たち。
物語の後半で敗残兵の中尉がヤンに別れを告げます。
・・・ロシアのネコ君、さあ別れよう。
ボクらは次の生でそしてまたその次の生で飽きる程再会を繰り返す。
だからこの今は、ただ、さようならまたいつか、とだけ言っておこう・・・
補足 2月7日 町田 純氏 ご逝去
私には無理な数字だけれど少し触発されているのも事実。
そんな私が選んだ最初の1冊です。
副題は亡命のヤン(町田 純 著・画)・・・遠い異国の物語です。
トルコのイスタンブールにはロシアからの亡命者のほかに
たくさんの動物たちも逃げて来ました。
様々な言語が飛び交い人間と動物たちがともに暮らすおおらかさが
この町にはまだあった時代です。
1920年12月、大道芸人のクマのジプシをはじめ動物たちは
貧しくても分け合ってその日暮らしを続けていました。
ジプシはロシアからの亡命猫ヤンにシミット(ゴマのついた輪型のパン)を与え
寝床まで提供してくれているのです。
昨日もヤンはジプシからシミットをもらいました。
シミットはぼそぼそになってしまっていて少しもおいしくなかったけれど
魚が嫌いなカモメと分け合いヤンは今日も仕事を探して歩き続けます。
・・・連中の作った国家とか法律とかどれもこれも馬鹿馬鹿しくって
話しになりません。
でもこのシミットは案外いいですよ。
人間は食べ物に関しては結構ウルサイほうですからね。
カモメは自己矛盾を隠さずにもらったパンを食べ続けます。・・・
ガラタ橋では商売道具の荷車をなくして途方にくれるロバに出会い
ピラフまでごちそうになりました。
ロバは船を数えるのが好きでつい夢中になってしまい
荷車を盗られたことに気づかなかったのです。
占いうさぎが不思議がるヤンに応えて話します。
・・・占いっていうのはネ、人生を仕舞う為の処方箋なんだヨ。
出される薬は所詮気休めだけどネ。
でもそれを受け取る方も、つまりお客も、半分気休めだと
わかっているからイイんだヨ。
そんなモンさ、占いなんて。・・・
バザールで占いうさぎの仕事を手伝うことになったヤンの前に
様々な人間たちが現れます。
絨毯商アフメットや反革命軍の敗残兵、亡命ロシア貴族、
貧しいウェイターの少年...
上等なアストラカンの帽子をかぶったカラスは紙ダンゴ占いをやっています。
商売上手な大きくて太ったハトがおみくじを売っています。
イスタンブールの町はモノクロームに霧とともに沈み
なんの希望も見いだせないけれど
人間たちよりははるかに今の生を淡々と生きている動物たち。
物語の後半で敗残兵の中尉がヤンに別れを告げます。
・・・ロシアのネコ君、さあ別れよう。
ボクらは次の生でそしてまたその次の生で飽きる程再会を繰り返す。
だからこの今は、ただ、さようならまたいつか、とだけ言っておこう・・・
補足 2月7日 町田 純氏 ご逝去
by shizumama0219
| 2011-01-10 17:28
| 読書